新卒で校正者になれるか

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就活は特殊な状況

就活シーズンが始まっていて、リクルートスーツを着た学生さんを街でよく見かけます。
今年はまだ売り手市場が続いているようですが、
就活自体が特殊な状況なので、けっこう疲れると思います。
見ていると、懐かしい……。

新卒採用試験を受けるのは、転職よりも大変だと個人的には思います。
転職だったら、過去の実績を伝えるだけで面接がある程度成立しますが
まだ実績がない状態でアピールできることといえば、やる気とか考え方とかです。
学生時代に頑張ったことや体験したことを話す場面でも同じで、
それを社会生活においてどう生かそうと思ってるかという未来志向の話になります。
しかも実際の仕事で本当にそれ役に立つの?みたいな怪しさがあります。。

実態のないものを以て人を説得するのは難しい。
結果的に、口のうまい人要領のいい人面接に受かりやすい
そういう社会的スキルがあると本人も世を渡るのに便利かもしれませんが、
選考方法も含めて、それでいいんでしょうか
日本で一般的に行われている新卒採用の選考には、やや疑問が残ります。

 

新卒で校正者になるよりは、他の職種を経験するのがおすすめ

それはさておき、新卒で校正の仕事に就きたいと考えている人もいるかもしれません。
でも正直最初から校正者になるのはあまりおすすめではありません
せっかくあらゆる職業を選択できる機会が与えられているのだから、
校正という狭い分野にフォーカスするよりも、
(出版業界であれば)企画から刊行までの全フローを把握できる仕事を経験したほうがいいと思います。

業界全体の流れや、その中のどの部分に自分が関わっているのか理解していないと
不満トラブルの元になりがちです。
(納期が短いとか、自分の指摘したことが反映されてないとかが代表的)

具体的には、書籍の編集をしてみるといいかもしれません。
編集の仕事の中で校正をする機会や、人が校正した原稿を見る機会がありますから、勉強になります。
とはいえ、職場によっては業務内容がほとんど進行管理という場合もあります。
もしかしたら「校正の業務が少なくてつまらない」と思うかもしれません。
ただ、書籍の制作上どういうことが重要視されているかがはっきりわかるので、
後々、クライアントのニーズにうまく沿った指摘の入れ方ができるようになるのではと思います。

たとえば、webサイトのコラムでは語りかけるような調子の文章が好まれます。
表記統一よりも文章のフレンドリーさが求められることがあり
どの程度指摘を入れるかは校正者によって変わりますが、
あまりにも統一を指摘しすぎるとかえって「指摘がうるさい」感じになってしまいます。
せっかく指摘した点も、クライアント(編集者)に無視されることが多いかもしれません。

他にも、専門用語をどのくらい解説するかは、書籍の読者層制作意図によって異なります。
より正確な表現になるよう細かな指摘を入れたとしても、
一般書に近い本であればあるほどざっくりした書き方の方が好まれます。

要は、「どういう本を作ろうとしているか」をわかっている方が
いい仕事ができる可能性が高まります。

 

新卒で校正職に就くことは可能

それでもやっぱり新卒で校正者になりたいという場合、
大手出版社などの校正・校閲部門に応募して採用されるという道があります。
この他にも編集プロダクションに入る、印刷会社に入る、などして
少しでも校正業務に携わることは可能でしょう。

ただし、これらの道は色々な意味で出版社の編集職に就くより大変です。
校正・校閲部門を置いている出版社はごくわずかで、大手企業以外はだいたい外注しています。
(ちなみに外注先となる校正会社は正社員として新卒を採用している企業が少ないです。校正経験のある人でテストに合格した人を登録していることが多い)
採用試験の倍率も、当然編集職より高い。

そして、編集プロダクションは出版社から予算をもらって書籍のコンテンツ作りをしますが
校正業務以外に企画立てや取材なども行うことが普通で、激務のところも多いです。

印刷会社に入ると、校正の機会はありますが
著者に質問したり、内容を根本的に変えたりするような指摘を入れることはなくなります。
校正の仕方も、色の違いや版のズレなど、印刷会社ならではのポイントを見ることが多くなります。

 

新卒で校正者になるのはもったいない

どうしても新卒で校正者になりたい場合、その道はあります!
しかし、けっこう大変なうえに潰しがききにくいのも事実です。
実際、校正者の中で新卒からずっと校正をやっていた人というのはごく一部
多くが出版関連の他の職種を経験してから転身しています。

校正の仕事が向いていると思う、やってみたい、という気持ちはとてもよく理解できるのですが
いったん他の職種を経験してみてからでも全く遅くないかなと、個人的には思います。
遠回りに感じるかもしれませんが、その方が制作全体を見渡せるため、実は近道なこともあります。

ただ、大手出版社の校正・校閲部の方々はさすがに新卒からその道一筋でやってこられただけあって
恐ろしいほどの校正技術・能力をもっているといいます。
若い頃から専門職に入って道を極めるというというのも素晴らしいことですね。
一握りの人たちだけが身を置ける世界なだけに、憧れるものがあります。

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